知っておきたい、介護リフォームの制度と申請の仕方について【呉市】
こんにちは、オオサワ創研の伊藤です。
早速ですが、想像してみてください。
もし今後、自宅でご家族を介護することになったとき、今のお家は安全性や利便性の面でバリアフリーになっていますでしょうか。
介護のイメージが難しければ、自分の足を骨折したとしましょう。
いつものように生活しようとしても、ちょっとした段差につまずいてしまう。トイレの便座に座るのも、立ち上がるのにも気を使いますよね。
不便な感じが伝わりましたでしょうか。
ご家族が介護の必要な状態になり暮らしていくと、ちょっとした段差につまずいたり、立ち上がるのにも苦労したりすることが増えてきます。
今まで住んでいたお家で今までと同じように暮らせず、不便を感じたりします。
これは介護をする側もされる側にとっても大きな負担になります。
だからこそ、介護される側もする側も負担が軽く、暮らしやすい家であることが大切になります。
住み慣れたお家でこれからも暮らしていきたい方は、介護保険を活用することで費用を抑えられるリフォームもひとつのアイディアです。
まずは、制度について詳しくなりましょう。
■介護保険とそれを取り巻く現状
呉市・東広島市で介護のリフォームの需要は上がってきております。
それは、以下のデータにも現れてきています。
2000年に制定された介護保険法から18年が経過して、
65歳以上被保険者数が、3,492万人と2000年の1.6倍になりました。
要介護(要支援)認定者も644万人と3倍になっています。
在宅サービス利用者数も、366万人と3.8倍です。
(出典:介護保険事業状況報告)
それだけ高齢化が進んできていて、また自宅で暮らしながらデイサービスなどを受けている方が多いということでしょう。
介護保険は40歳以上の人はこれに加入し、保険料を納めています。この保険料を財源として市町村によって介護保険サービスが行われています。
そのサービスのひとつとして、今回のブログで説明する「介護のための住宅改修費の支給」があります。
介護保険を活用したリフォームはきっと増えてくると思います。
それでは、介護保険を活用するとどのくらいもらえるのでしょうか。
■もらえる支給額は?
対象のリフォーム費用20万円のうち、最大18万円が支給されます。
これは上限であり、20万円以下の場合は対象になる工事費用の9割までです。
支給された額は個人ごとに蓄積されていくため、工事を分けたとしても上限額を超える金額はもらえません。
上限額を超えた部分に関しては、対象の工事だったとしても全額実費となりますのでご注意ください。
例外として、要介護状態区分が重くなった場合(3段階)や転居した場合は再度支給される可能性がありますので、その際は市町村にご確認ください。
大規模なリフォームを検討される方には、魅力が少ないかもしれませんが、手すりひとつがここにあるだけで、この段差がないだけでも暮らしやすく感じることもあります。
せっかくの素晴らしい制度ですし、条件を満たしているか確認し、活用していきましょう。
■支給される条件は?
さて、支給される条件ですが、
・要介護認定で「要支援」もしくは「要介護」と認定されていること。
・改修する住宅の住所が被保険者証の住所と同一で、本人が実際に居住していること。
・福祉施設に入所しておらず、病院にも通院していないこと。
・一定の介護リフォームを行うこと。
介護保険を利用した支給を受ける場合には、上記のような条件があります。実際に住んでいる家をリフォームするためでないと支給されませんのでご注意ください。
続いて、支給される条件になっている介護リフォームについてお話します。
■対象の工事は?
住宅改修として以下のような種類があります。
1.手すりの取り付け
手すりは、廊下やトイレ、浴室や玄関など転倒防止や移動支援を目的として設置します。
立ち上がるとき、ふらついたときの支えとしてあると安心ですよね。
力を込めやすいように、波型になっている手すりなどもありますので、使いやすそうな手すりを選ぶようにしましょう。
体を支える目的だけでなく、運動能力の維持や回復とリハビリにも活用されています。
怪我で一時的に車椅子になってしまっても、立ち上がりや歩行訓練を行うことも出来るでしょう。
靴を履いたり脱いだりするときも手すりがあると、しゃがむ助けになります。
人感センサーと一緒に玄関先にもあると便利ですね。
だからといって「とりあえず手すりをつけておこうか」と安易に考えると、かえって邪魔になったり使われなかったりしますので、取り付けるときには最終確認としてもう一度高さなどを確認しておきましょう。
手すりであっても貸与告示第七項に記されているような取付けに際し工事を伴わないものは、住宅改修としては認められませんのでご注意ください。
福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種類に含まれています。
2.段差の解消
足腰が弱ってくるとちょっとした段差でも、つまずいてしまうことがあります。
そうならないようにスロープを設置したり、部屋と部屋の段差をなくしたりすることで、怪我の防止につながります。
浴室なんかも入口に段差がついているところが多く、またぐときに転んでしまうなど事故の一因になっています。
浴室の床をかさ上げすること、あるいは脱衣所からの段差をなくすこと、そしてまたぎにくい浴槽を低いものと交換することなどが段差解消として考えられます。
ですが、段差解消の為であっても、貸与告示第八項に記されているように、取付けに際し工事を伴わないものは認められませんのでご注意ください。
玄関の外に車椅子用のスロープを設置する場合、勾配の目安は、
・介助者に押してもらう場合は、1mの高さに対して8mのスロープ
・自ら車椅子を動かす場合は、1mの高さに対して12mのスロープ
そして、幅は90cm以上が必要と言われています。
直線ではなく、U字のように折重なるようなスロープにする場合、方向転換するための広さも必要になります。
スペースがない場合は昇降機などもありますが負担は増えてしまいます。また、昇降機は住宅改修に含まれません。
3.すべりの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
畳からノンスリップ加工された板の床材に替えることも対象になります。
一見滑りにくそうなイメージの畳ですが、表面に油脂がついていたりすると、畳の目に沿ってすべりやすいこともあるので注意が必要です。
また、床の材料についてですが、当初は建物と一体ではない屋外における段差解消や手すりの取り付けなどの工事は、対象外となっていました。
ですが、現在は玄関から道路までの屋外の工事も対象になっておりますので、より安全なおうちにすることが出来ますね。
そして、階段も通路の一部ですから、当然リフォームの対象になります。
手すりの設置や滑り止めの設置などが考えられますが、一段一段の段差をゆるやかに出来るといいですね。
特に古い家の場合、階段の傾斜が急になっていることも多いです。
転落は大ケガにつながりかねませんので、安全な上り下りが出来ると安心ですよね。
ただ、ゆるやかに出来るかは、家の構造や階段によって変わってきますのでご注意ください。
4.引き戸等への扉の取替え
開き戸を引き戸、折戸、アコーディオンカーテン等にすることで、車椅子の方にとっても出入りが楽になります。
既存の引き戸を単純に新しくする場合は対象になりませんが、既存の引き戸が重くて、のような理由があれば対象になります。
ドアを交換しなくても、右開きから左開きにする場合も対象になります。
開き戸は扉を開くときにある程度の空間が必要なのは想像できると思います。扉が邪魔をして廊下が通れないといったことも考えられます。
引き戸にした方に理由を聞くと、スペースの有効利用が出来ることをあげられます。換気などで開けっ放しにしていても、扉が邪魔にならないことも利点の一つです。
また、要介護4、要介護5と重度になってくるにつれて、引き戸に関する改修が多く見られます。
なぜかというと、介護をされる方が車椅子等で移動することが多くなってくるためです。廊下などスペースが確保しづらい場所でも邪魔になりにくいですよね。
5.洋式トイレ等への便器の取替え
和式トイレから洋式トイレに交換したり、無理が少ない体勢で座れる高さにしたりすることが対象になります。便座が高い位置にある洋式トイレなどに交換すると、座ったり立ったりする際の負担が軽減されます。
既存の洋式トイレが古くなったから交換しよう、では認められませんのでご注意を。
どうせ交換するのだったら、暖房機能が付いていたり自動洗浄機能がついていたりするトイレにしたほうが快適だと思われませんか?
トイレは個人的な空間なので、家族であっても自分でこなしてしまいたいと思います。
リフォームをするときは、自分で出来るようにと考えていきましょう。
まずは、出入りがしやすいことです。ドアの開閉に戸惑うことなく、段差につまずかないように、そして、車椅子になることも想定しておくと良いでしょう。
トイレ内で動きやすいことも大事です。
手すりにつかまって安定すること、体の向きを変えるのに充分なスペースがあると良いですね。
便座の高さが低いと、立った状態から腰掛けるときに距離が出来てしまい、転倒の可能性があがります。立ち上がるときにも、より力が必要になります。
トイレットペーパーやリモコンの位置も、体を伸ばさなくても手が届く位置にあると便利ですね。
また、素足でも冷たく感じない、滑りにくい床材を選ぶことも過ごしやすいアイディアです。
6.その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
手すりを取り付けるためには、支えとなる下地が必要になります。
体重をかけたときに外れてしまっては元も子もありませんからね。
そういった住宅改修工事と一緒に行う工事が対象になります。
「参考資料1 福祉用具・住宅改修に関する法令上の規定について」には、以下のように記載されています。
・手すりの取付けのための壁の下地補強
・浴室の床の段差解消(浴室の床かさ上げ)に伴う給排水設備工事
・スロープの設置に伴う転落や脱輪防止を目的とする柵や立ち上がりの設置
・床材の変更の為の下地の補修や根太の補強または通路面の材料の変更の為の路盤の整備
・扉の取替えに伴う壁または柱の改修工事
・便器の取替えに伴う給排水設備工事(水洗化または簡易水洗化にかかるものを除く)
・便器の取替えに伴う床材の変更
■申請はどうすれば?
1.ケアマネージャーさんにご相談
要支援もしくは要介護の認定を受けている場合、担当のケアマネージャーさんがついているはずなので、相談しましょう。
もしいない場合は、市町村の介護保険を担当している部署に相談しましょう。
介護リフォームいっても、お家ごとに造りが違い、介護の内容や状況も異なります。ケアマネージャーさんや介護する方の目線も必要になってきます。
2.見積作成
ケアマネージャーさんも同席して、業者(オオサワ創研)と打合わせを行います。
どういうところで困っていて、どうすれば改善できそうかなど細かく洗い出していきます。
それらの打合わせを元に、オオサワ創研では見積を作成し、工事の完成イメージを作成します。
これらをまとめて、事前申請を行います。
先に工事をしてしまった場合、認められないこともありますので、要注意です。
3.事前申請
住宅改修の支給申請書類を市町村に提出します。
提出された書類により、保険給付として適切な改修かどうかをチェックされます。
提出する書類例
・申請書(住宅改修の内容を記載したもの)
・見積書、工事図面
・住宅改修理由書(ケアマネージャーさんが作成)
・改修前の状況が確認できるもの(改修前の写真など)
基本的には業者やケアマネージャーさんが準備してくれると思います。
住宅改修理由書は、資格を持った方が作成する必要があります。
事前申請が問題なく通過すれば、施工に入ります。
補足ですが、入院中の場合は、退院日がいつになるかも必要になります。
呉市では、受領委任払いという制度が設けられており、これを利用することで本人が支払う負担を減らすことも出来ます。
□通常(償還払いといいます)の場合
申請者 → 事業者 20万円
市町村 → 申請者 18万円
2ヵ月後に9割が戻ってくるとはいえ、いったんは申請者が20万円を支払わなければなりません。
□受領委任払い
申請者 → 事業者 2万円
市町村 → 事業者 18万円
自己負担分の1割を事業者に支払うだけで良く、市町村からのお金が事業者へと振り込まれます。
20万円を準備する必要がないため、より利用しやすくなっています。
ただし、呉市と受領委任払いの協定を結んでいる事業者に限るのでご注意ください。
オオサワ創研はその点は大丈夫です。
受領委任払いについて(呉市ホームページ)
https://www.city.kure.lg.jp/soshiki/15/jyuryouininn-fukusiyougu-jyuutakukaisyuu.html
4.正式な支給申請(工事完了後)
・工事費内訳書
・領収書(基本的に、原本)
・完成後の状態がわかる図面や写真
・住宅所有者の承諾書
以上のものを準備して、市町村の介護保険担当の部署に届け出ます。
撮影した写真は、撮影日がわかるようにする必要があります。
5.支給
正式な支給申請の後、工事が行われたかどうかの確認を行い、認められれば住宅改修費が支給されます。
■費用はどれくらい?
現場ごとに下地の補修が必要か不要かでも変わってきますので、あくまでも概算金額です。
トイレ手すり取付け 3~20万円程度
廊下手すり取付け 3~20万円程度
浴室ドアを折れ戸に 5~15万円程度
トイレ引き戸設置 5~20万円程度
和式トイレを洋式に 10~30万円程度
浴室手すり取付け 10~30万円程度
玄関スロープの設置 20~50万円程度
車椅子用洗面台 30~50万円程度
リフォームの規模が大きくなると、支給額を超える工事が必要になってくることもあります。
しっかりとやりたいことを洗い出して、必要なものから優先順位をつけていきましょう。
■改正について
介護保険法は適宜見直されています。
そのため、ここに記載した内容も変更される可能性があります。
改正があれば、随時更新していきます。
■まとめ
介護保険を活用したリフォームについて、申請の流れや条件などをお伝えしました。
介護が必要な状態になってみなければ、家の中の不便なことというのはなかなか実感としてわかないことも多いと思います。
ですが、段差をなくしたり手すりを取り付けたりすることで、怪我を未然に防ぐことが出来そうだ。と感じていただけたのではないでしょうか。
最初に書いたとおり、要支援もしくは要介護の認定者は、2000年から2018年の間におよそ3倍増加しております。
今後も高齢化は進んでいくことが予想されており、自宅でご家族を介護される方は増えていくと思われます。
その介護の負担が少しでも軽くなるように、そして自立支援のためにも介護が必要になってから慌てるのではなく、将来に備えて介護リフォームを検討してみるのはいかがでしょうか。
呉市・東広島市で介護保険を活用したリフォームをお考えの方はご相談ください。
以上、オオサワ創研の伊藤でした。